熱いぜグルーヴマスター!!”Goodbye Elenore / TOTO ”from Youtube


Toto - Goodbye Elenore - YouTube


  個人的には衝撃度ナンバーワンのPV。この曲は1981年発売のTOTOのサードアルバム、B面1曲目である(当時はLPレコードだった。)。

  プログレ色の強かったセカンド「Hydra(ハイドラ)」から一転、ハードロック色をフィーチャーした今作は日本で好評を得たが、アメリカではイマイチで、ブレイクは次の名盤「TOTO IV」まで待つことになる。

  また、このアルバムはベースとなるパート(ドラム、ベース、ピアノ、ギターの4リズム)をスタジオライブ形式で収録しており、アルバムからシングルカットされたこの曲は、PVをスタジオライブドキュメンタリーで収録したものだ。

  上に上げたのは、曲のみのライブ映像だが、スタジオのセッティングとリハーサル風景を収めたメイキング映像がある。それだけ見ても充分楽しいが、楽器プレイヤーが見て刺激を受けるのは、やはり1曲分のライブ映像だ。

  レコーダーの回転からジェフ・ポーカロのカウントで始まるライブ映像。パーソネルは以下のメンバー

  ボビー・キンボール / ヴォーカル
  スティーブ・ルカサー / ギター

 「Goodbye Elenore」はいわゆるハード3連シャッフルがベースのリズム。通常はミドルテンポだが、これはスピードが速めで、テンポキープが難しい。特にバスドラは1、3拍目の3連の1つ目と3つ目をハッキリと刻まねばドライブ感が出ないのだが、さすがはグルーヴマスター、3連符に聴こえるほど明確なキックで曲のノリを産み出している。

  ベースも3連符が中心のこれまたキープが難しいものだが、ハンゲイト氏の堅実なプレイは土台を支えている。

ペイチ氏のピアノはコード弾き中心のベーシックなプレイ。ソロ前のユニゾンではヤマハのCSで彩りを添えている。

スティーブ・ポーカロはオルガン系とシンセサイザーで、フィルイン中心のプレイ。残念ながら使用機材は確認できず。メイキングでは巨大なタンスのようなポリフュージョンというモジュラーシンセサイザーのセッティング風景が映っていて興味深い。

  さて、ルカサー師匠。この頃超売れっ子スタジオミュージシャンだったルカサー師匠は、当時最新鋭の機材を使用していた。

ルカサー師匠はそれまでレスポールをメインで使用し、ストラトは部分的な使用に留まっていたが、このアルバムからはストラトタイプのギターをメインに使用するようになる。

  ベースはブラックサンバーストのストラトに、太目のポールピースの出力の高そうなシングルコイルピックアップ3つに、通常の5ポイントセレクターに替えてピックアップ毎のon/offスイッチが3つ設置。これは音色のヴァリエーションを得やすくするためだろう。

  特筆すべきは、このカスタムストラトには、その後のギターに革命的な影響を与えることになったある装備が搭載されていた。
それが、師匠の使用していたストラトキャスターに搭載されていたロック式トレモロ、フロイド・ローズである。

  これは、ストラトの大きなデメリットだったアーム使用時のチューニングの狂いを0にするデバイス。曲中でもアーミングを使用しているが、当然チューニングは安定している。

  とはいえ、このユニットはまだ世にでる前(79年に特許取得、82年より販売開始)であり、搭載ギターはまだ希少だったはず。とすれば、この映像は貴重なものだと言えるだろう(*)。

  リハーサルと本番のルカサー師匠のプレイは、アルバムヴァージョンと同じようなものであるが、大きく異なるのはソロである。オリジナルはメロディックなフレーズの印象的なソロだが、ライブではかなりハードに弾きまくっていて、若き日の師匠のロック魂溢れるプレイを聴くことができる。いやカッコいい!

  さて、このPVで最も刺激を受けるのはドラムのジェフ・ポーカロ様だ。3連シャッフルで曲をグイグイ引っ張る力強いドラミングは惚れ惚れするが、何といっても白眉はエンディングである。キメフレーズを3回リピートするが合間のフィルがだんだん盛り上がってエナジェティックになり、最後の千手観音さながらの叩きまくりは圧巻の一言!!初めて見た若き日の私はブッ飛びましたね。ああいう風にプレイしたいと練習に励んだものです。アーミングをしたくてフェルナンデスのストラトにEMGとフロイド・ローズを積んだルカサーモデルも買いました。

  結局ダメだったけどなhahaha。

 まあ、バカテクミュージシャン集団の凄さを堪能できるビデオです。眼福眼福。

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