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持つ者は惜しみ無く与う。 皇后杯決勝ー澤穂希現役最終戦

 若干15歳で日本代表に選出されてから24年、その歩みが日本女子サッカーの歴史そのものを体現したもはや安易にレジェンドと呼ぶのもためらわれる選手が先日現役引退を表明した。

 残り試合は所属チームINAC神戸が勝ち残っていた皇后杯の残り3試合。チームは順調に勝ち進み、ラストはアルビレックス新潟との決勝となった。

 国民栄誉賞も受賞した有名サッカー選手の最後の勇姿を見ようと、会場となった等々力競技場には記録となる20000人以上の観衆を飲み込んだ。観衆の誰もが期待するのは、ただ1つである。

 決勝は両チームが拮抗した展開となり、後半半ばまで0ー0で推移。しかしFIFA世界最高選手を受賞したバロンドーラーは、観衆の期待に応える見せ場を用意していた。

 後半33分、コーナーキックを得たINAC、キッカーはフォロワーであり、なでしこでも有力なストライカーの川澄。アルビレックスのDF陣は、ニアにやや偏っている。バロンドーラーはさりげなく中央に寄る。

 そして川澄の蹴ったボールはその中央にきれいなラインを描いて飛び、バロンドーラーは当然のようにDFに競り勝ってヘッドに弾いたボールは誰に触れられることもなく、ゴールネットを揺らした。

 これが決勝点となり、その後これを守りきったINACが優勝となった。

 難しい試合でこそ決める。あの時もそうだった。

 2011年ドイツ女子W杯決勝、1点ビハインドの場面、コーナーキックを蹴るのは希代のテクニシャン宮間。意外にもカーブさせず直線的なボールがコーナーから放たれると、バロンドーラーはボールに向かってまっしぐらに駆け出し、DFよりも前に出て、あの全速スピードで右足アウトでボールの起動を変え、ゴールに突き刺したのだ!

 日本サッカー史に間違いなく語り継がれる美しすぎるゴール。日本中を歓喜と狂喜の渦に叩き込んだあのシーンを演出したのも、彼女だった。

 多くを持つ者はそれゆえに多くを与える。与えるものは感動であり、結果だ。

 自身の最終戦を自分の得点で勝ってタイトルを取って引退する。こんな都合のいい話がどこにあるというのだ?そしてそれを体現しても誰からも皮肉を言われない。もうこれしか言えない。

「恐れ入りました。もう満腹です。」

 日本のホマレここにあり!

 澤さんありがとう!またスーツ姿の貴女に会えるのを待っています!またね!

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