待望の配信:KKBOX

Michael Bolton - Soul Provider

Michael Bolton - Soul Provider


 待ち望んでいたアルバムがようやく配信された。「松崎しげる@USA」ことマイケル・ボルトンの89年発表のAORの名盤「ソウル・プロバイダー」である。

 マイケル・ボルトンは元来HRバンドのヴォーカルで、マッチョなイメージで売り出したが今一つくすぶっていた。それが世のAORブームに乗ってLAの有名どころを揃えて発表したこのアルバムが大当たり。太いトーンと抜群の歌唱力が相まってAOR路線を走ることになる。

 何と言っても曲もいいし参加ミュージシャンがよい。当時の自分のCD購入基準は雑誌(ADLIBとか)の紹介記事のミュージシャンクレジットだった。ファーストチョイスはもちろんルカサー師匠。次にジェフ・ポーカロ師匠やジョン・キーン、ジョン・ロビンソン等の一流ドラマー、そしてトム・キーン、マイケル・オマーティアン等の達者なキーボードが加わり、仕上げのプロデュースは

デビッド・フォスターで万全」(*)

 である。

 ということでこのアルバムは、ギタリストにSteve Lukather, MIchael Landau, Dan Huffという当時のスタジオ・ギタリストトップ3が揃い踏み。ルカサー師匠やダン・ハフも数曲で達者なソロを聴かせてくれるが、個人的に印象に残るのは、アルバムタイトル曲" Soul Provider "と、グラミー獲得の珠玉の名バラード" How am I supposed to live without you "でのマイケル・ランドゥの実に繊細なバッキングである。

 氏の愛機であるタイラーから紡ぎ出される実に綺麗なコーラスとエコーの聴いたクリーントーンは実に美しい。加えて”How am I~”での滑らかでディレイの効いたディストーションは、やはりランドゥのプレイであるチャカ・カーンの名曲" Through the Fire "のソロを彷彿とさせ、実によい。

 なお、このアルバムでは名手マイケル・ブレッカーやケニーGのサックスも堪能でき、ミュージシャンマニアには垂涎の作品となっている。私はリアルタイムで購入し、比較的簡単なランドゥのソロをコピーしては悦に入っていたが、今の自分から当時の自分にアドバイスするなら

「歪みはいいからディレイにもっと気を配れこの下手くそ!」

 である。ちなみに当時の機材はBladeのR-4、歪みはRocktronのPRO-GAPにMAXONのデジタル・ディレイをコーラスで使用していた。ヤマハのマルチはまだだったかな。懐かしいねえ。