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シンセサウンドのカレイドスコープ(万華鏡):Human Nature from ' Thriller 'by MJ

 世界で最も売れたアルバムといえば、言うまでもなくキング・オブ・ポップマイケル・ジャクソンの「スリラー」だ。どの曲をとっても超一流の仕上がりの捨て曲なしという神アルバムだが、個人的に印象深いのは、ダンサブルでポップなチューンが満載の中で、何とも異彩を放つこの曲

" Human Nature "

 である。誰もが聴いた瞬間に覚える浮遊感に満ちたシンセのイントロと、メカニカルなバックトラックと抑制の利いたヴォーカルは魅力たっぷり。実にいい。ライブでも幻想的なライティングと情感に満ちたスローなダンスで、雰囲気たっぷりの空間を醸し出している。没後公開となったフィルム" This Is It "でも、このシーンは良くて何度も見返した。

 ところでこの曲、いかにもデジタルっぽいが、実は「スリラー」の発表が1982年なので、ほとんどがアナログである。デジタルなのは当時出現したばかりのリズムマシンくらいで、この曲のイントロはいかにもであるが、手弾きである。びっくりしたのは絶対リズムマシンだと思っていたドラムトラックが生のドラムであったことだ。アクセントを抑えた機械的なドラムを貫徹したのは、やはりグルーヴマスター、ジェフ・ポーカロ様である。お見事。

 加えてこの曲はフワッとしたイントロのシンセとか、ヴォーカルのバックにメロディをなぞる不思議なコロコロした音色(ひょっとしてシンクラヴィア?)といい、魅力的なシンセの音色が満ちている。作曲者であるスティーブ・ポーカロ先生(TOTO)の面目躍如といったところだ。氏の教則ビデオ(あるんですよそういうのが)を見ると、複数のメロディを個別に記録した「ヤダ・シート」と呼ばれるものを使って、こうした重層的な構造の曲を構成していったようだ。ただ、先ほど手弾きと書いたが、ビデオ内ではRolandシーケンサー(今のようなものではなく、初期のシンプルなもの)を使用した曲作りもあったので、部分的に使用している箇所はあるのかもしれない。

 とりあえず結論としては、

  「オーバーハイムのMatrix-12が欲しい。」

 これだな(安易なw)。

 あの「TOTOホーン」の音色とか、恐ろしくウォームなストリングスの音色とか、確か当時は64万円ほどしたような。今はソフトで再現も可能であるので、おカネがあれば...ねえ。

Thriller (Spec)

Thriller (Spec)