半世紀を超えて

 50年前の今日、The Beatlesが武道館で来日コンサートを行った。

 既に英米で圧倒的な人気を博し、日本でもロックンロールブームの火付け役となった彼らの来日は一大フィーバーを巻き起こした。コンサート会場は、当時屋根がある最も大きな会場であった日本武道館が選定。今では珍しくもないが、当時は「日本の魂が云々。」といった頭のいささかハードな方々からブーイングも出たが、商業主義が勝利し、開催の運びとなった。

 チケットは即完売、一万人が詰めかけた会場には前座でドリフターズ(マジである)等が登場し、いよいよ彼らの登場となった。既に自分達が飽きるほどプレイしたツアーは、始めから終わりまできっちりとプリセットされた定食メニューだ。当時の大歓声に比較して、当時の貧弱貧弱ゥbyディオ様なPA設備では、果たして会場の隅々にまで彼らの演奏が聴こえていたのかははなはだ疑問だが、ほんの30分余りとはいえ、生きて動いている彼らを観ることのできたたった一万人の人々は、本当に一生ものの経験ができたことだろう。

 男らしく股を広げてリッケンバッカーをかき鳴らすジョン。

 一心不乱にラディッグのドラムを叩きまくるリンゴ。

 おとなしくスッキリと直立してグレッチを弾くジョージ。

 今に至るもトレードマークのヘフナー・バイオリンベースをリズミカルに動きながらプレイするポール。

 文字通り世界を制した彼らのプレイスタイルはとてもカッコいい。

 聞けば彼らのツアードキュメンタリー映画が今秋公開されるらしい。イベントともいえたあの熱狂の裏に何があったのかは興味がある。半世紀を経てメンバーの半分はこの世を去っていったが、彼らの音楽と映像は、この後50年は続いていく。

 個人的には" I Saw Her Standing There "の出だしのポールのカッコ良すぎるカウント

 " One, Two, Three, Four! "

 あれで全てが始まったのだ。感慨深い。